7月22日 子どもたちへのメッセージ(第三十回)の収録を終えて

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今週は「子どもたちとIT」について考えていきたいと思います。「ネット依存症」という言葉があるように、子どもたちがネットやゲームの仮想世界にのめり込み、現実の生活に支障をきたすケースが後を絶ちません。しかし、私たち大人もまた携帯やネットに対してのモラルが崩れている実情もあります。子どもたちの見本になるために、まずは大人側からITやゲームの危険性について理解することが求められています。

■危険なネットの世界
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。

夏休みに入り、子どもたちは自由を手に入れ、インターネットやゲームの世界に陥りがちになると思います。ある中学生が夏休み中に、一日16時間もオンラインゲームに熱中して、段々と昼夜逆転の生活になり、二学期に入っても影響が出た結果、不登校になってしまったという例があります。

水谷さんが言うには今の子どもたちに携帯やゲーム、インターネットを与えるのは3歳の子どもに包丁を与えるようなものだということです。何より先に危険性を教えてやらなければいけないのに、何も管理や指導を行わないまま簡単に子どもたちに与えてしまう状況は非常に問題です。

■ネット依存症
「ネット依存」またはIT中毒という言葉がありますが、これは自分の意志でIT環境を止められなくて、常にネットをしていないと不安でイライラしてしまうという状況です。2008年での厚生労働省による成人を対象とした調査では、ネット依存者は推計270万人、これは成人全体の2%となります。そして子どもを対象とするともっと高い割合になります。東京都内の中学生約1000名を対象にした調査では、依存者は約3.4%なのですが、韓国ではさらに進行していて、韓国政府による調査では9歳から19歳の約13%がIT中毒だとされています。

ここであらためて依存症という定義について水谷さんから説明がありました。「あるものがないと精神的に不快になり、肉体的に何らかの兆候が表れる」。例としてアルコール依存症があります。イライラして手に震えが出てくる。この兆候はネットでもゲーム機でも同様です。依存症かどうか確認することは実に簡単で、週に一回24時間、これらを使わないでいられるかどうかです。実際に水谷さんが学校で聞いてみたところ、一日使わないでいられた子どもたちは大体3割です。ということは、7割の子どもたちがネット依存だという事になります。

韓国ではネットカフェで数日間オンラインゲームに没頭した結果、エコノミー症候群で死亡したという事例があります。ネット依存というのはこれからさらに大きな問題になるでしょう。

■まずは大人が見本に
しかし未だ、ゲーム機さえ与えておけば子どもが大人しくなると考えている親も多いと思います。

ある親御さんの話では、子どもたちにゲームを与えないとその子どもが隣の家にゲームをする為に遊びに行ってしまい、帰ってこないと言います。これは非常に難しい問題です。よって、完全に禁止するのではなく、一日何時間にしようなど親子間でルールを作ることが重要です。小児学会の「子どもとメディア」対策委員会では、全てのメディアへ接触する時間は「一日2時間」、テレビゲームは「一日30分」が目安であるとしています。

また、子どもたちだけでなく、大人も同様にネットやゲームに没頭している方が多いです。電車内や人前で堂々と電話やメールをすることを恥ずかしいものだという常識を大人自身が理解する、まず大人が子どもの見本にならないといけません。

■カウンセリングの体制
実際に子どもたちをIT中毒から守る為に出来ることはなんでしょうか。家庭レベルでは先述したとおり「一日に何時間」とルールを作ること、また週に一日は完全なネット断ちを親の管理下で行う事です。

政府として実際に依存症になった子どもたちをカウンセリングする体制が必要だとして、その分野での研究体制を作ろうとする動きがあります。神奈川県の久里浜医療センターは、元々アルコール依存を研究する医療センターだったのですが、今年からは新たに「ネット依存の治療センター」を開設しました。そこで実際にカウンセリングをしながら症例を重ねて、どういう形で治療していくか、このような研究も進めていきたいと思います。

「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ

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