8月5日 子どもたちへのメッセージ(第三十二回)の収録を終えて

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7月は大津市のいじめでの自殺が大きく報道されました。今週はこの問題について考えていきたいと思います。何故ここまで大きな事件になったのか、また加害者についての過剰な情報漏えいも大きな問題になっています。このような悲しい事件を繰り返さない為にも、いじめを根本的に無くすためにも、今一度いじめについて考えていきたいと思います。

■大津市の子どもの自殺
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。大津市の子どもの自殺について報道では大きく取り上げられました。この事件のあらましについて、まず説明したいと思います。

事件は2011年10月11日に大津市立中学2年生の男子生徒が自宅マンションから転落して死亡し、死因は自殺だとされました。この事件を通して、学校側で二回アンケートが行われましたが、その内容が十分に公表されておらず、遺族の方が損害賠償を起こすこととなりました。これは警察に被害の訴えをしたが受理されず、やむにやまれずの訴えだったのですが、その中で先述のアンケートの内容が今年の7月になって判明しました。その中で、亡くなった子が、周辺の子どもたちから「自殺の練習をさせられていた」という回答もありました。

■アンケート調査結果について
水谷さんもそのアンケートを目にしたそうです。そのいじめの内容が、他にも万引きを強制する、肉体的に暴力を加えた上で死んだ蜂を口の中に入れる、あるいは家から金銭を持ってこさせるなど、犯罪的な内容がたくさん書かれていました。この実情を昨年の段階で教育委員会や学校長は知っていた訳です。しかし、一切の詳細を明かさず、いじめはあったかもしれないが今回被害者の死の大きな理由ではないとして、そのアンケートの一部を公表しなかったことからこのような大きな事件になりました。

■「拘束のいじめ」
我々の世代のいじめとは「排除」、つまり仲間外れにすることがいじめでした。最近では、グループにまず入れて、外からは、仲良くしているのかそれともいじめなのか分からない、いわゆる「拘束のいじめ」が増えてきています。よって、先生方も真実が分からない状況があります。

いじめの問題は学校で解決できるものだと国も文科省も思っていますが、教育現場にいた水谷さんからすればそれは大きな間違いだといいます。いじめている子もいじめられている子も、教員にとってはかわいい生徒であり、どちらも守らなくてはいけません。このように考えていくと、外部の力が介入していかない事にはいじめの問題は無くなっていかないのではないでしょうか。例えば、法務省の人権擁護委員、また今回は犯罪ですから警察の介入も必要です。今回このような大きな事件になると、現場ではマスコミ対応が追い付きませんから、人を派遣するなど臨機応変に行っていくことが求められます。

■加害者の個人情報漏えいの問題
加害者の子たちの家族を含め個人情報がネット上で流れている問題があります。このような問題に対応するために、総務省の「違法有害情報相談センター」があります。これは「プロバイダー責任制限法」という、そのような有害情報を除去することを義務化した法律によるもので、そういう機関に相談することによって問題を変に大きくしていかな事が必要です。勿論教訓を教訓として受け止めなくてはいけませんが、同時に第二、第三の被害者を作らないようにしなければいけません。

今回の事件で自殺前後のメール内容も全て明るみにされました。亡くなった後に「死んでよかった」と書いていたなど言われていますが、それも子どもが書いたことです。確かに加害者の子たちがしたことを償わなければいけないのですが、償った後で幸せになる権利はあると、水谷さんはこのような状況を問題視しました。

■このような悲しい事件を繰り返さない為にも
私たちの社会に大きな影響を与えた今回の事件ですが、ではその事件を通して私たちが出来ることは何か、水谷さんは強く訴えました。

いじめられている子どもたちは、この放送を聞いていたら今すぐにお父さん、お母さん、先生、警察でもいい、色んな人に相談する事。いじめをただ見ているだけしか出来ない子たちは、そのことを先生や親に伝える事。いじめている子は、すぐにいじめていることを親に伝え、そしてこの夏休みの内にいじめてられている子に謝りに行って9月からは全く新しい関係を築いてほしいという事。そして最後に親御さんに、この夏休み中に学校にいじめがあるかどうか子どもさんからじっくり話を聞いてほしいという事。そしてその事実があったなら、学校や教育委員会にそのことを伝える事。今こそ、この国からいじめを根本的に無くすチャンスだと水谷さんは話しました。

今回はまことに悲しい事件でしたが、この事件を通していかにいじめを無くしていくか考える、その一歩だと考えています。その為にも教員の方々は、いじめが自分だけの問題と抱え込まないでほしいと思います。警察、人権擁護委員、地域の方々の助けも必要になります。連携のネットワークの中で一つ一つ改善して行きたいですね。

「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ

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