2004.11.11(木)
永住外国人地方選挙権法案について
公明党は従来から「永住外国人地方参政権付与」に向けて積極的に取り組んできており、平成10年の与党連立の際には自自公連立政権の共通課題としてとりあげるとともに、同年10月に法案を臨時国会に民主党とも共同提出してきました。この時は残念ながら衆議院が解散となり成立には至りませんでしたが、その後も、平成15年の臨時国会や本年の通常国会でも他党とも連携しつつ提案をしてきており、既に審議日数は8日、総審議時間は12時間34分も費やしてきております。
この10月12日から始まりました臨時国会においても、標記法案について審議再開することになりましたが、最近、私のホームぺージアドレスに法案反対の意見がいくつか寄せられました。そのいくつかには客観的な事実の誤解も見受けられますので、私の見解をここで「浜田の視点」として紹介させていただきます。
先ず法案の内容ですが、あくまで地方参政権(地方自治体の長及び地方議員の選挙権)で、被選挙権、国会議員の選挙権を含めるものではありません。また、付与する外国人は、我が国に永住を認められた人で、本人の申請に基づき、かつその人の国と我が国が国交がある場合に対象となるものです。戦前被選挙権まで認められていた在日韓国人やその末裔の方々(特別永住者)及び中国、フィリピン、ブラジル等から永住許可をとられた方(一般永住者)の約35万人が対象となると考えられます。我が国と国交がある国が前提となりますので、現時点では朝鮮民主主義人民共和国の国民であると称している人は対象とはなりません。
公明党がこのような内容の法案を提案してきている背景には、歴史的経緯のみならず、その参政権の対象となる自治体自体がその付与に対し圧倒的支援していることがあります。我が国約3000の地方自治体のうち、1226の地方自治体において、地方参政権の付与を求める決議書・意見書を総務省に提出しており(平成16年9月30日現在)、その属する住民の数は全国民の約7割を超えると推定されているのです。
定住外国人に対する地方参政権付与に係る決議
総務省調べ平成16年9月30日現在
 
都道府県
指定都市
指定都市以外の市区町村(要望書等を含む)
合計
賛成
32
12
1182
1226
反対

賛成自治体) 北海道、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、
千葉県、東京都、神奈川県、富山県、石川県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、大阪府、奈良県、兵庫県、鳥取県、島根県、山口県、
徳島県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、鹿児島県、札幌市、仙台市、千葉市、川崎市、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市、 広島市、北九州市、福岡市、京都市など。
反対自治体)香川県など5自治体。
 
 
 
 
 
反対自治体) 香川県など5自治体。

頂いたメールにおいては、反対する理由として、@外国人に参政権を付与するのは憲法違反である、A参政権を望むなら日本に帰化するのが筋でないかとの意見もありました。これらについては、以下のとおり、私はそうではないと考えています。
我が日本国憲法は第8章に地方自治という制度を創設し、「地方自治の本旨」に従うと規定しております。地方自治の本旨とは国から独立した地方公共団体が、住民の意思によって地方行政を行うべきことです。わたしたちがその地域社会の中で、永年にわたり生活の本拠を置き、居留する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係のある外国人の住民とともに生活している現実に鑑みて、むしろ 地方参政権を付与し、我々と同じ責任を担って頂く方が、より地方自治の本旨にかなうのではないかと考えます。また我が国国民ではない永住外国人の方がその国籍のままで住民として地方自治に参加することは、最高裁の判例でも認められているのです。
平成7年2月28日最高裁判決
「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関係を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって地方公共団体の長、議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。」
また、「参政権を望むなら日本に帰化するのが筋でないか」との意見に対しては、「帰化」というものが「日本社会への同化、個人のアイデンティティーの喪失」につながりかねないという永住者の意見や1960年代頃においては帰化申請の1/3が不許可になっていたという厳しい実態にも耳を傾けるべきであると思います(現状では不許可は1%程度)。なお、当然のことながら「帰化」した方は地方・国政ともに参政権を得ることとなることから、「大量帰化・大量離脱」につながるような帰化条件の緩和は慎重に考えるべきだと思います。
世界においても、北欧諸国や旧英連邦諸国等の歴史的経緯があった国々だけでなく、欧州統合を経て、EU市民には地方参政権が与えられるようになってきています。我が国においても、歴史的経緯と共に未来志向の中で永住外国人の地方参政権を認める時代にきているのではないでしょうか。この問題皆様とともに議論していきたいと考えています。


諸外国の在住外国人への地方参政権付与状況
分類 国名 △は条件付
選挙権
被選挙権 要件等
  ノルゥエー


3年以上の合法的在住
EU フィンランド

2年以上の居住
EU スウェーデン
3年以上の合法的在住
英連邦
EU
イギリス

英連邦市民・アイルランド市民、EU市民
英連邦
ニュージーランド


1年以上在住する永住者
英連邦 オーストラリア 不明 英連邦市民
英連邦 アイルランド

すべての外国人に付与
EU
デンマーク

3年以上の合法的在住
EU
オランダ

5年以上の合法的在住(EU市民は不要)
EU
スペイン

相互主義に基づいて付与
EU
ドイツ

EU市民 一部の州では執行機関を除く
EU フランス

EU市民 市町村長を除く
  スイス

一部の州
  ハンガリー
不明
一定期間以上の在住
  ベネズエラ 不明 10年以上の居住
出典)「定住外国人の参政権」調査と情報263号等