新ハマダレポート Vol.11.ー「人間の復興」へー

新ハマダレポート Vol.11. 2023.5.8

ー「人間の復興」へー

 4月28日、郡山市に山口代表を迎えて、党の政経セミナーが開催され、党アドバイザーとして、双葉の復興状況、「人間の復興」について挨拶をさせて頂きました(4月30日付け公明新聞1面)

 東日本大震災・原発事故から11年半後の昨年8月に居住制限が解除された双葉町。中間貯蔵施設、30から40年といわれる廃炉を進める東京電力第一原発があります。まさに、双葉町は福島復興の一番重たい課題を背負ったラストランナー。

 今年3月末時点で、双葉町の居住人口は約60名。3.11当時の人口7000名の1%弱です。そのうち、双葉に帰還された方々が約20名、私のような新たな移住者が約20名、町役場への派遣職員などの方々が約20名という状況です。

 2月に、私の住んでいる駅西住宅の集会所で芋煮会を開催したことはご報告しましたが、その後、先月には花見会を開催し、この夏には夏祭りを開きます。双葉音頭を踊ろうと、運動不足解消を兼ねてその練習をすることになりました。

 町の復興計画では、2030年頃までに2000名の居住を目標としています。3.11前の人口の約3割です。その時の双葉町は、どのようになっているでしょうか。私自身も参加しながら、その絵を描いていきたいと考えています。

 公明党が掲げる「人間の復興」は、防潮堤や復興公営住宅といった、今までのハードの復興と大きく異なり、国が画一的に進めることはできません。帰還される方々、移住される方々のそれぞれの思いに寄り添う、個別的支援が不可欠です。

 そこで重要となるのが、「小さな声を聴く力」と「国と地方のネットワークの力」です。

 政経セミナーでは、郡山でその力が発揮された、あるエピソードを最後に紹介しました。

 2013年2月、復興副大臣就任直後、夜回り先生・水谷修さんからの夜中の電話。

 「福島のNPOのMさんが、自立援助ホームを設立したいと頑張っているがうまくいかない・・・。なんとかならないか」

 「自立援助ホーム」とは、高校中退などで児童養護施設を退所せざるを得なくなった子どもたちが、20歳まで共同生活で大人との信頼関係の回復などを目指す施設です。終戦後、戦災孤児の居場所としてスタートしましたが、現在では、虐待を受けた子どもたちの居場所にもなっています。

 東日本大震災後、福島では児童虐待が急増。2011年は前年の38%増、12年は76%増。大人のストレスが子どもに向かっていたのです。

 お調べしたところ、福島県では2013年まで自立援助ホームが設置されておらず、国の助成制度がありますが、半額を県・市が負担する必要があるとのこと。

 そこで、ネットワーク政党・公明党。郡山選出の今井久敏県会議員が2013年3月7日の県議会の質問で取り上げ、県から「積極的支援していく」との答弁を勝ち取り、我が党の市議会議員も団結して郡山市を動かしました。

 それだけではありません。問題を抱えた子どもたちの共同生活の場として賃貸することに必ずしも積極的でなかった大家さんが多かった中、公明党の県・市会議員が手分けして、物件探しまでやったのです(2013年6月24日付け公明新聞)。

 ある方が言いました。「小さな声を聴く力。それは、単なる小さなことの実現じゃないか」。違います。一滴の水は、渓流となり、やがて大河となるのです。

 事実、Mさんが設置した自立援助ホームは、子どもたちが卒業して今はありませんが、このことが契機となって、子どもたちの福祉施設の設置に対する福島県の姿勢が変わり、現在では、郡山市で2施設、福島市1施設、いわき市で1施設と県全体では4つの自立援助ホームが設置されるようになったのです。

 「人間の復興」。この双葉町でも進めて参ります。

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