3月4日 子どもたちへのメッセージ(第十回)の収録を終えて

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第十回目を迎えました「子どもたちのメッセージ」、今回は東日本大震災からもうすぐ一年ということで、震災が子どもたちに与えた影響について考えていきたいと思います。辛い状況でも、子どもたちの笑顔のおかげで多くの大人たちが救われています。しかし、震災でのストレスが子どもたちの心を追いつめてしまう問題が起こっています。水谷さんと浜田はその心の問題は震災直後ではなく、月日が経つにつれ悪化していくものだと指摘しました。そのストレスの原因は何か、どのような対策が行われているのか、取り上げました。

■震災の影響による子どもたちの変化
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。今回の放送のテーマは「震災が子どもたちに与えた影響」です。

東日本大震災以降、この一年で水谷さんの元には多くの被災地の子どもたちから、メールが届いているとのことです。水谷さん自身も震災直後から、各地の避難所を回っていましたが、月日が経つにつれ避難所にいる子どもたちにある異変が起こっていることに気付いたそうです。震災直後は、率先してお手伝いをしていた子たちが6月を過ぎると、突然泣き出して噛みついてきたり、大暴れをする子たちが出てきたというのです。体育館での段ボールでしかプライベートがしきられていない窮屈な生活が、子どもたちを体力的にも精神的にも追い詰めているとのことでした。

■避難所生活における「ストレス」の問題
それは仮設住宅での生活でも同様です。仮設住宅に入居した幼い娘さんが三人おられるあるお母さんのお話です、ご存じの通りですが、仮設住宅の壁は薄く、隣の生活音も丸聞こえの状態です。子どもたちがどうしても暴れたり、泣いたりするのでその音が周りに筒抜けになってしまうことが悩みになっています。また夜中には、子どもたちが津波のことを思い出して大声で号泣することもあり、翌日には近所に謝りに回ることもあるようです。

また障害を持つお子さんのご家族はより深刻な悩みを抱えています。ある自閉症の7歳の男の子は、小学校入学まではなかなか言葉を発しなかったのですが、最近になって数を数えだし、ようやく「おかあさん」と呼んでくれるようになり、また歌も歌ってくれるようになりました。ですがそんな喜ばしい事なのに、周りの避難者の人たちには迷惑になってしまうことを恐れ、夜に大きな声を出すその行為を止めなくてはいけないことがとても辛いとのことでした。

仮設住宅ですと、もちろん自分の部屋などありません。そうすると子どもたちは大人の声を本当によく聞いています。大人が涙を流している、生活が大変だと辛さを言葉にしている、そうすると逆に子どもたちは気兼ねなく自身の心の傷を吐き出すことができず、結局我慢してしまうのです。そういう意味では家族や周囲の大人たちが回復して、平穏な状態になることでやっと子ども自身がストレスを吐き出すことができる、そのような実態があると思います。

■「福島っ子体験活動」の実施
さらに福島の放射線の影響で、現地の子どもたちが外で自由に活動できなくなり、重大な問題になっています。保護者の方々が健康面で安心できない気持ちから、現地の去年の秋の運動会は時間が午前中だけだとか、体育館で行うなど制限する内容ばかりでした。それで我々は、林間学校の実施を提案しました。福島でも放射線が低い会津の方で、最長七日間で一泊七千円の補助を行ったのです。これが大成功となりまして、最終的に7万人の子どもたちが参加しました。その後は紅葉、スキーなど継続して行って、1月までに37万人の参加者数となりました。そして2月10日に政府に再度要求した結果、これから3年間、継続してこのような事業を行うことに決まりました。

昼間に自由に外で走り回り、そして夜は疲れてぐっすり眠りにつく。このように子どもたちがストレスを発散できる場を提供することが大事なのではないでしょうか。

■政策面から子どもたちの心の傷に対して
実際に子どもが受けた心の傷に対して、政府や自治体からどのような対策が行われているのかお話ししたいと思います。報道では、子どもの心のケアに重要な役割を果たす児童精神科医が少ないと言われています。確かに児童精神科医は全国で300人程度しかおらず、児童相談所にいる児童心理士も不足している状態です。

この問題は水谷さんが言われていた、直後ではなく月日が経つにつれ精神が不安定になっていった避難所の子どもたちの例でもわかる通り、特に子どもたちの心のケアは長期間の取組みが必要になります。阪神大震災の時のデータでは、心のケアが必要な児童生徒数のピークは3年から5年後に出てくるとあります。当初は地震の恐怖によるストレスが大きな要素ですが、年を重ねるにつれ、転校や保護者の失職などによる生活の不安への影響が強くなっているのが特徴です。

それで東北大学では「震災子ども支援室」が設立され、いわゆる震災孤児や遺児に対し、カウンセラーを10年間交代せず、専任で担当し、長期的に継続して心理支援を行う、このような取組が始まりました。この政策をいかに政府側が後押ししていけるか現在考えている最中です。また被災した現地の教職員や保護者に対し、心のケアや学校教育活動支援のために、スクールカウンセラーの派遣事業など、今後とも継続した支援事業を行っていきたいと思います。

「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ

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