[No.1541]ハマダレポート Vol.228 ー桑折町と「物置のピアノ」ー

ハマダレポート Vol.228 2014.9.22

ー桑折町と「物置のピアノ」ー

先月、復興副大臣室に、福島県桑折(こおり)町の高橋町長が「献上桃」を届けてくださいました。

3.11直後の平成23年も、桃の木を一本、一本、高圧洗浄し、全品検査の上、天皇家・宮家に献上を継続。今年で21年連続となるそうです。

その「滴(したた)るような甘さ」に、丹精込められてきた皆様の「真心」を感じました。

その高橋町長から紹介されたのが、桑折町を舞台とした映画「物置のピアノ」。先日、観させていただきました。

この映画は、ヒロイン春香(はるか)と同じ桑折町出身の女性が日本映画学校在学中に書いた夏休みの課題「200枚シナリオ」が原作になっています。

2010年から始まった映画化の直後に起きた3.11。被災された方々・不自由な避難生活を未だ余儀なくされている方々に何を伝えるか・・・・・・。中断していた映画製作が再開されました。

姉と弟とともに桃農家の祖父と、跡継ぎを嫌い役場勤めを選んだ父(平田満)・母と、桑折町の豊かな自然の中ですくすくと育ってきた春香。

ホタル狩りでの幼い弟の水死をきっかけとして、家族の間にも亀裂が走り、大好きだったピアノも自由に弾くこともできず、ほの暗い物置で弾き続ける春香。

桑折町にある仮設住宅に浪江町から避難し、転校してきた康祐とその父親(佐野史郎)。津波で遺体の上がらない母を思い、中々福島からの旅立ちができない日常・・・・。

「いつもそばにある大切なもの」。人生はそれを亡くしていく過程なのかと語りかける前半です。

転機は、仮設でのボランティア演奏会。ピアノを担当する春香とトランペットを担当する康祐。しかし、本番は、「同情だけほど残酷なものはないから」という康祐の言葉通り、避難者に届かぬ音色・・・。

その時に、認知症の進行で孫かどうかも分からなくなった祖父が会場から発した「お嬢ちゃん、ウサギやってけろ」の一言で、即興で「故郷(ふるさと)」を演奏する、春香、康祐、そして吹奏楽部の面々。

「兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川、夢は今もめぐりて、忘れがたきふるさと・・・」

いつの間にか、会場は涙ぐみながらの大合唱。そして万雷の拍手。その演奏を目の当たりにした春香の父は、娘のピアノへの思いに改めて気づき、春香ももう一度「ピアニストの道」を決意する・・・。

「不安ともどかしさの毎日からの一歩」。その勇気を分け与えてくれる作品でした(首都圏でも順次公開予定とのこと)。

紹介いただいた高橋町長に感謝しつつ、浜田まさよし、「心の復興」に寄り添い続けます!

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