新ハマダレポート Vol.31.ー東日本大震災から能登地震への教訓(その2)ー

新ハマダレポート Vol.31. 2024.2.19

ー東日本大震災から能登地震への教訓(その2)ー

今回は、「復旧の段階で復興を意識することの重要性」についてです。

大災害があると、政府に災害対策本部が置かれて、先ず応急復旧が始まりますが、その前提は「元に戻す」ことが基本になっています。

その基本は重要ですが、将来の「復興」」を考えると、「元に戻す」復旧が必ずしも適切ではない場合もあるのです。

インフラの復旧などで既に災害の前から、規模縮小に取り組まなければならなかった場合もあり、大災害の後の一定の人口減少を想定すると、思い切った判断も必要です。

東日本大震災の被災地でも、防災集団移転など帰還者が想定を下回っている自治体があります。また、寸断した下水道をそのまま復旧するのか、それとも、帰還される方々に応じて浄化槽に変更することも一つの考え方です。

一方、生業・産業の復旧においては、「元に戻す」のではなく、場合によっては、新商品・新サービスなどの高付加価値化や、省エネや省力化などの新プロセスへの転換が求められることもあり、これは、行政側の柔軟な対応が必要です。

例えば、東日本大震災で、生業・産業の設備から建屋まで、4分の3補助という前例のない「グループ補助金」が導入されましたが、当初、あくまで「元に戻す」ことが前提になっていたのです。

その後、現場の声を受け、認定支援機関が認めた場合は、このような新分野事業が補助対象になりましたが、その限度額はあくまで「元に戻す」のに必要な額とされています。

高付加価値化や新プロセスの転換には、一般にコストアップとなることが多く、何らかの改善策が必要です。

また、201212月に復興副大臣を拝命して、しっくりこなかったことは、Reconstruction Agency(再建設庁)という復興庁の英語名です。復興は、決して、インフラや建物・設備というハードで測れるものではなく、住民ひとりひとりの「心の復興:Revitalization(再生)」を目標とすべきと感じ、多くのソフト事業を立案させて頂きました。

「能登は復興できるか・・・」とのインタービューでの最後の質問に対し、「地元住民が絶望ではなく、希望を持ち続けられれば、必ず復興できる。むしろ、その希望を支援できるかが、政治の役割。3年が勝負」と、答えさせて頂きました。

震災という「破壊」が起きてしまいましたが、それを「創造的破壊」に止揚し、新生の春を迎える「創造的復興」へ。今、政治が問われています。

P.S.私のインタビューが、昨日、朝日新聞デジタル会員へのメールマガジンで配信されました。

今後、22か23日に朝日新聞デジタルにアップされ、26日の朝日新聞夕刊に掲載されます。

アナザーノート「能登に贈る東北の失敗と反省 だれのための復興か」と、角度が付いた記事になっていますが、ご参考まで。

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