1月22日 子どもたちへのメッセージ(第四回)の収録を終えて

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第四回では「体の病から心の病」がテーマです。心の病については先天的なもの、後天的なものがあるといわれています。先天的なものは脳に生まれつき持っている疾患等により心が病んでしまうのですが、これはもう継続的な医療の中で体制が整っています。しかし、リストカットやうつ病などの後天的な心の病についてはどうでしょうか。その原因、療法、そして多方面からの対策について取り上げました。

■心の病と認知行動療法について
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。今回のテーマは心の病についてです。

実は我が国日本では現在一千万人以上の国民が心を病んでいる時代だと言われています。水谷さんの説明によりますとこの数年特に増えているのが後天的な心の病だということです。日本だけでない各先進国で起こるこの文明病、この原因は「ストレス」であると言われています。ストレスというのは心身の分離であり、体は疲れていないが心と頭はボロボロに疲れてしまう、結果そのアンバランスによって心が病んでしまうとのことです。

治療法についてですが、抗うつ剤のような薬物療法とカウンセリングのような精神療法との二つが挙げられますが、最近はこのカウンセリング、つまり精神療法の重要さが社会で認められています。例えばイギリスでは軽いうつ病の方には薬物療法より優先して「認知行動療法」が現在導入されています。うつ病の方は大体物事のとらえ方、「認知」の仕方が少々悲観的になる傾向があります。例えば二人で話をしていて相手があくびをした時に「私の話面白くないんだ」と思ってしまう。でも、そうではなくて、相手がただ眠たいだけだったりする。だから患者に対してうつになりやすい物事のとらえ方を面接を通じて変えていき、うつ病を軽減していくこの精神療法の推進が現在重要視されています。

実はこの認知行動療法は、平成21年度までは保険適用ではありませんでした。しかし多くの患者さんのお声を受け、私も何度か厚生労働省に申し入れに行き、平成22年度から保険適用になりました。今では毎月約2万人の方々が保険で利用されています。しかしさらに多くの方が受診されたいという要望を頂き、その継続的拡充を今、厚労省に強く申し入れをしているところです。

■医療面以外での対策
心の病の原因はストレスであると先ほど話しましたが、家族でできる対策法を水谷さんは述べました。彼の元に相談しにくる親や子供たちに言うのは、子どもと一緒に夕食後5キロや10キロ歩くこと。そうすれば体が疲れて夜眠れるようになる、生活リズムと共に心身が安定してくる、これだけで初期のケースは消えるとのことです。

私からは、心の病の原因になりがちな問題をかかえる子供たち、不登校であったり引きこもりであったり、そういう子どもたちの居場所を作ることの重要性について話しました。これは水谷さんに要請されたのですが、不登校の子どもたちの居場所を作ってほしいという話を頂いて5年ぐらい前にフリースクールをいくつか見て回りました。そこで感じたのは、最初は不登校の子どもたちを高校に連れ戻せば解決すると思っていたのですが、それは間違った認識でした。そこで出会ったAくんという少年は植木職人の見習いをしながらフリースクールに週二、三回通っていました。高校に戻りたいかと私が問いかけますと、元の高校はいじめがあるから戻りたくないと話してくれました。よってむりやり高校に戻すというより、むしろそれぞれのこどもたちのペースで不登校や中退、引きこもりにならないそういう居場所づくりが大切だと思うようになりました。そこで平成20年、「フリースクールの高校出席扱い」を国会で取り上げまして、1年間の実態調査の末、平成21年度から実現。学割も適用されたのですが、そのデータを見て驚きました。その子どもたちが通っている外部機関先の区分を見ると一番通っている場所は、フリースクールではなく、病院・診療所だったのです。

■子どもたちを心の病から救うには
子どもたちの心の問題は、やはり社会自身が変わっていかないと根本的な解決は難しいかなと思います。子どもたちがのびのびと生きていけるような社会づくりです。一旦レールを踏み外すともう戻れないような、就職戦線でも学校でもピリピリしている社会ではなくて、例えば高校を中退しても高校卒業資格認定試験というのがあります。現在中退者の二割相当が合格しているのですけれども、そういうものもあるし、就職戦線で失敗しても卒業して3年くらいは新卒扱いで再チャレンジできる社会を広めていかないと、子どもたちのピリピリした感情というのは無くなっていかないのではないかと思います。あともう一つはやはり、そういう子どもたちの声をしっかり受けが相談できる場所、これをきめ細かく、学校も含め色々な所で作っていくことが政策面で重要になっています。

家族のフォローももちろん重要です。真夜中に子どもはちゃんと眠れているだろうか。机の上にカミソリやカッター、大量の薬が置いていないだろうか。子どもの生活習慣を注意深く見守っていれば心の病の発見につながると水谷さんは話しました。

「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ

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