[No.1117]米国・原子力規制委員会などで意見交換
2011/10/12
10月12日(ワシントン現地時間)、参議院調査団の一員として、米国原子力規制制委員会(NRC)を訪問。ボーチャード運営総局長(写真左端)らと意見交換を行いました。
私が質問したのは、原子力規制機関の組織の在り方の問題。
日本では原子力安全・保安院を経済産業省から切り離すことになっていますが、問題はその行き先です。
委員会組織では緊急時に対応できないとして、環境省の外局にするとしていますが、NRCという委員会組織では緊急時には対応が行いにくいのか、また、1979年のスリーマイル島事故のあとのケメニー報告書においては、NRCを行政長官をトップとする行政庁の外局にすべしと指摘されていながら、結局、現在、委員会組織のままである理由を質問しました。
ボーチャード局長は、どんな組織には長所・短所があり、結局、NRCの委員長に緊急時に権限を集中することが、安定性、継続性の点から優れているとして、行政府外局案は採用されなかった旨の説明がありました。
意見交換の後、国家対応枠組(NRF)の中でNRCがどう対応するのか、その中枢となるオペレーションルームを視察。全米104基の原発の現時点の運転状況や設計資料が壁のモニターですべて確認できるとともに、すべての専門家からのアドバイスを全員が瞬時に共有できる施設に圧倒されました。
単なる組織いじりではなく、このような施設や検査官の洗練された教育訓練システムこそが緊急時対応のカギと実感しました。
午後は、米国科学者連盟のファーガソン会長と意見交換。ファーガソン氏は物理学者であるとともに、国務省や外交問題評議会(CFR)にも籍を置いた外交専門家。
米国においては、諸外国との原子力協定を厳格化し、再処理を認めないUAEとの協定を模範(Golden standard)としようとする動きや、より議会の関与の強化(承認がなければ再処理を含められない)議論があり、4月14日には下院委員会で原子力法改正案が可決されたという動きがあります。
これに関連して、私からは、非核兵器国として唯一認められている我が国の再処理について、現在引き続き行うのか、それともその権利を放棄すべきなのかについて議論があることを紹介し、世界の再処理技術の不拡散という観点からどのような評価がなされるかを質問しました。
ファーガソン氏からは、日仏などが再処理を選択した1970年代頃においては自然界の分裂性ウランが限られており、その需給が逼迫するという認識が一般であったがそのような状況が大きく変容してきている点、日本の再処理方式と異なったプルトニウムが単離されない「不拡散抵抗性の高い」技術が研究されている点、本当に経済性が成り立つのかなどを踏まえて、予測困難な面はあるも賢明な判断をしてほしいとの意見が表明されました。
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