2月12日 子どもたちへのメッセージ(第七回)の収録を終えて

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第七回のテーマは「児童虐待」です。皆さんは平成22年7月に大阪市西区のマンションで、幼い姉と弟が遺体で発見されるという痛ましい事件があったことを覚えているでしょうか。児童相談所には近隣の住民からの通報があったにも関わらず、なぜこの事件は防げなかったのでしょうか。児童相談所の権限強化、民法改正など政策面での対策に加え、地域でできることはないか、取り上げました。

■児童虐待の定義とデータ
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。第七回目にあたる今回のテーマは「児童虐待」です。

児童相談所における「児童虐待相談件数」は平成22年度では5万5千件で、この10年で3倍です。内訳は、暴行などの身体的虐待が4割、暴言や差別などの心理的虐待が3割、育児放棄というネグレクトが3割です。特に心理的虐待がこの10年で10倍以上に増えているのが特徴です。虐待の加害者は悲しいことですが、実母が6割、その半数は母子家庭という実態から、親も追い込まれているのがよくわかります。

児童虐待の定義について皆さんはご存じでしょうか。水谷さんから紹介があった平成21年4月1日に改正された児童虐待防止法ですが、この法律で実は初めて児童の定義を15歳未満から18歳未満と変えました。これは高等学校の生徒でも、虐待を受けたら児童相談所に保護してもらえる素晴らしい内容です。また児童虐待の解釈も、広げまして、例えば夜10時以降に、18歳未満の子どもだけを家に置いて飲みに行ったり、カラオケに行ったりすれば、児童虐待に当たります。また例えば「でていけ」、「お前なんか生まれなければよかった」、このような言葉の暴力だって立派な児童虐待になります。それをもっと認知してもらう必要があると水谷さんは強く提言しました。

■なぜ周りの人間が「虐待」を止められないのか
平成22年7月、大阪市西区のマンションで幼い姉と弟が遺体で発見されるという痛ましい事件がありました。この事件では、児童相談所が同じマンションの住民から子どもの泣き声がすると3回にわたって通報を受け、職員が現場を5回訪問しました。そういう声は挙がるのにも関わらず、いざ立ち入り検査ができなかったのです。母親の名前などが特定ができないがゆえに、立ち入り検査や臨検ができなかったからでした。これについては我々国会議員自身も声を挙げて、「○○号室にお住まいのお方」という特定でも立ち入りができることになり、そういう声があればすぐに立ち入り検査や出頭要請ができるようになりつつあります。

また水谷さんはこの虐待の通報に関して国の甘さに問題があると厳しく指摘しました。日本だと虐待に気付いた場合は児童相談所に報告する義務があります。しかし、児童相談所自体は警察機関ではないので、様子を見て、最終的に警察を使い介入するという二段階の行動になります。しかしアメリカではたとえペットが虐待されたとしても、ペットポリスという拳銃まで携帯した機関が即介入して、手錠をかけて逮捕していきます。日本の警察は民事不介入を徹底して関与しなさすぎる、児童相談所自体には調査機能までで取り締まり機能はない、この部分を国は変える必要があると水谷さんは語りました。

■児童相談所の権限を強化
先ほど水谷さんのお話にもありました通り、児童相談所の権限をいかに強めていくかがいま求められています。特に、言うことをきかない両親に対し、子どものために、どう児童相談所が立ち向かっていくか、昨年夏まで参議院の法務委員長としてこの問題に取り組み、民法改正を実現しました。それは親には子どもを監護・教育する権利として「親権」があり、これを制限するという内容です。もともと民法には親権を喪失させる条項はあったのですが、これでは永久に親子の縁を引き離すこととなってしまいます。そこまでではなく最長2年間停止するということを権限として児童相談所が親に立ち向かえる手段とします。この法律は2012年4月から施行される予定です。

また水谷さんは児童相談所の設置数の問題が挙げました。県の機関である児童相談所ですが、虐待から守るためには県では大きすぎる、やはりどんなに小さな市町村であれ、きちんと児童相談所を設置しないと解決にはならないと指摘しました。

■今後児童虐待を防止するためには
先ほどの大阪市西区の事件のあと、亡くなった子どもたちの名前にちなんで「桜楓会」という住民の交流会ができました。つまり地域の住民の方々が、児童虐待というのは国や児童相談所の問題にするのではなく、まず地域自身が住民のつながりをもっと密にして声を強く挙げていく、そのようなつながりづくりをベースにしていきます。そのベースの上に、先ほど水谷さんが言われた通り、児童相談所をより綿密に細かな単位で作っていき、外部機関との連携を進めていなかければいけないと思っています。

また最後に、忘れてはいけないのは虐待されている子どもたちは虐待を隠してでも親に会いたいということです。そのような子どもたちの気持ちを反映していく為にも、親権の一時停止の実施だけでなく、親の教育や支援が必要であり、是非各地でNPOと連携した取り組みを進めていきたいと思います。

「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ

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