新ハマダレポート Vol.34.ー山間地の放射線量を下げるー

新ハマダレポート Vol.34. 2024.4.15

ー山間地の放射線量を下げるー

4月7日、8日にわたり、公明党東日本大震災復興加速化本部の視察に同行させて頂きました(4月8日、9日『公明新聞』1面)。

双葉・大熊・浪江・富岡の4町長との政策懇談会で議論になったのは、これから除染・避難指示解除を行う、「特定帰還居住区域」の放射線量をどう下げるかです。

「特定帰還居住区域」とは、与党の「たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除」するとの方針のもと、帰還希望のある家屋については全て、解体除染を行う区域です。

2022年に行われた4町の住民意向調査の結果は、対象の約2000世帯に対し、回収率は約6割。「帰還意向あり」が3-4割、「帰還希望なし」が1-2割、「保留」が2割という状況で、避難指示解除に対する高い期待が示されました。

しかし、これまでに避難指示解除がなされた「特定再生復興拠点」は面的な市街地中心だったのに対し、「特定帰還居住区域」は山間地の小さな集落が多く、従来の除染では放射線量が下がりません。

周りの森林の影響が大きく、単に地面の土を入れ替えるだけでは、効果が見込めないのです。

そこで、今、期待されているのが、家屋周辺の木々の間伐や伐採・植え替えです。

しかし、その線量が高い間伐材や樹皮をどう処分するのか・・・?

その対応も、今年から動き始めます。

飯舘村の蕨平(わらびだいら)には、原発事故直後、環境省の仮説焼却炉を設置していました。

復興副大臣在任時代に、設置反対運動のある中、住民の理解を得るべく粘り強く説得し、建設が認められたものです。

2016年1月から稼働し、除染廃棄物、家屋解体廃棄物などを、一日当たり240トンを処理し、21年2月に焼却処理を完了しました。

当初懸念された周辺の空間放射線量に関しても、2段のバグフィルターを設置すれば、排気の放射性物質は99.8%除去されることが実証されたというのです。

これらの経験を踏まえ、今年7月から、その跡地でバイオマス発電の営業運転が開始します。

飯舘村を中心に、被災12市町村からの間伐材を年に4.5万トン、従来処分に困っていた樹皮(バーク)も、浜通り・中通りから年4.6万トンを受け入れ、年間5300万KWh(一般家庭1.7万軒分)の発電を行う予定です。

これにより、再生可能エネルギーとして脱炭素社会への実現だけでなく、間伐材やバークの利用が進み、福島県の里山・林業の再生・復興に貢献することが期待されています。

当時、取り組ませて頂いた課題の延長に実現した、山間地の放射線量低減対策。

視察させて頂き、「あの時、頑張って良かったなぁ」と改めて実感しました。

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