新ハマダレポート Vol.23.ーリスクコミュニケーションについて対談(その4)ー

新ハマダレポート Vol.23. 2023.10.23

ーリスクコミュニケーションについて対談(その4)ー

8月6日に開催された、高村館長(東日本大震災・原子力災害伝承館)と、リスクコミュニケーションを中心とした対談について、第4回目のご報告です。

 2012年12月、政権再交代があり、安倍内閣で福島担当の復興副大臣を拝命しました。

皇居での認証式の翌日の12月28日、早速、福島県知事にご挨拶にお伺いし、以後、被災12市町村を訪問させて頂いて実感したことは、当時、政府と地元との信頼関係が壊れていたということです。

「副大臣とか、政務官とか、何回も来たけれど、いつも聞きっぱなし、言いっぱなしじゃないか!」「政府の対応は、遅い、鈍い、心がない!」

リスクコミュニケーションは、情報の一方通行ではありません。対話ができるためには、こちらの言葉が相手の心に届かなければ始まらないのです。

その為の信頼を得るにはどうすればよいか・・・

福島市の公務員宿舎への単身赴任を決意し、被災地に入りきって、ご要望を「聞きっぱなし、言いっぱなし」にせず、手帳にメモして、一つ一つ「カタチ」にすることから始めました。

福島県は、北海道、岩手に次いで広大な面積。朝8時に公務員宿舎を出て、車で大体2時間かけて、避難先のいわき、会津、南相馬等に通わせて頂きました。

ご要望で長期間かかるものであれば、検討の途中経過をご報告に行きました。また、これはさすがに無理ではないかと思う課題もありましたが、ひとまず受け取り、ギリギリ実現できる代替策を持っていくことも・・・。

特に、双葉郡8町村の議長会との皆様とは、毎月、要望事項を聴き取り、翌月の会合で紙で回答するという、「対話」を始めました。

当時、帰還困難区域は、一切、除染はなされていませんでしたが、お墓参りがしたいとの要望を受け、環境省の除染の例外対象とし、併せて復興庁の予算で、地震で倒壊して散乱していた墓石を各区画に置きなおす事業からスタート。数年も放置された家屋で、雨漏りなどで現時点で機能的損壊があれば、3.11直後に物理的損壊がなくても、半壊の認定をし、解体除染の対象にもしました。

さらに、避難先での住民懇談会では、借上げ住宅のバリアフリー化工事や、仮設住宅から復興公営住宅への移転の際のエアコン・照明の移転など個別の要望にも対応させて頂きました。

これらの対応に対し、当初、復興庁内から、「そこまでするのは・・。」との声もありましたが、粘り強く説得し、対応に動く中で地元との信頼関係が徐々に「修復」されていったのです。

このような中、「中間貯蔵施設受入れの地元合意」という課題に直面したのです。その詳細は、次号で紹介します。

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