新ハマダレポート Vol.25.ーリスクコミュニケーションについて対談(その6)ー

新ハマダレポート Vol.25. 2023.11.20

ーリスクコミュニケーションについて対談(その6)ー

8月6日に開催された、高村館長(東日本大震災・原子力災害伝承館)と、リスクコミュニケーションを中心とした対談について、第6回目のご報告です。

第3回目のご報告で、「自主避難者」を紹介しました。

政府の発令した避難指示区域以外であっても、自らの判断で避難をされた方々のことだと紹介しましたが、決して「自主」ではなく、子どもたちへの影響を特に心配された「やむにやまれずに」避難された方々です。

これらの方々を支援するための法律として、「子ども被災者支援法」が、議員立法で政権再交代前の2012年6月に可決成立しました。

その内容は、政府の避難指示の基準(年間20ミリシーベルト)以下であっても、「一定の基準」以上である地域で居住する(又は、していた)被災者を支援しようとするものですが、その具体的線量のレベルについては明示できず、法成立後、政府が策定する「基本方針」に委ねた法律となりました。

民主党政権下では、その「基本方針」も策定されず、政権再交代後、私はその担当となりました。

当時、年間20ミリシーベルトという避難指示の基準や、解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域の「線引き」自体、避難指示の期間や支援策、賠償額等で分断を生んでいました。

「一定の基準」とは、一体、何ミリシーベルトにすればよいのか・・・。

復興庁の担当者と議論し、毎日、条文に向き合う中で、あることに気づきました。「一定の基準」という用語が、条文の3カ所に規定されていますが、同一とも異なるとも規定されておらず、かつ、これらに「準ずる者」を含めた柔軟な対象の規定振りとなっていることです。

2013年10月に策定した「基本方針」では、特定の数字を決めて新たな分断を生じさせることはせずに、「支援対象区域」は、福島県の浜通りと中通りとしつつも、これら以外の地域であっても、支援策ごとに、「準支援対象区域」を福島県外を含め広げるという形にしました。

当時、自主避難者は、子どもとお母さんが県外に避難するケースが多かったことから、週末などにお父さんが子どもたちに会いに行けるよう、高速道路無料化措置への要望が多くあり、その対象地域には、地理的条件を考慮して、浜通り及び中通りに加えて、宮城県の丸森地区も対象としました。

また、スクールカウンセラー事業や学校給食事業等については、放射能の影響を幅広く捉え、福島県外を含め、幅広く対象区域を指定することになったのです。

さらに、毎年見直す支援策のために被災者の方々のお声を伺いたいと、北海道から沖縄まで、自主避難者との対話を進めていくことになりました。

次号では、これらの自主避難者の皆さんとの対話等についてご紹介します。

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