新ハマダレポート Vol.26.ーリスクコミュニケーションについて対談(その7)ー

新ハマダレポート Vol.26. 2023.12.18

ーリスクコミュニケーションについて対談(その7)ー

8月6日に開催された、高村館長(東日本大震災・原子力災害伝承館)と、リスクコミュニケーションを中心とした対談について、第7回目のご報告です。

自主避難者を中心とした県外避難者の方々とのリスクコミュニケーションを行うため、NPOの皆様のお力をお借りして、「県外避難者懇談会」の体制を構築しました、

2013年の4団体を、2015年には、北海道から沖縄までをカバーする形で8団体に拡大し、2019年には、さらにきめ細かく29団体まで拡げました。

自主避難者の方々の要望が多かった高速道路無料化支援については、前回ご紹介しましたが、北海道や沖縄まで対象地域が拡大すると、飛行機や高速バスなどを含めた移動支援や、さらには避難元への「バスツアー」も支援対象にしました。

また、移動支援とともに、要望が強かったのが住宅支援です。

2017年3月まで災害救助法に基づく無償支援を行ってきましたが、その後、県の補助制度や公営住宅の「入居円滑化支援」等でカバーすることとしました。

この「入居円滑化支援」とは、母子避難者等においては2地域居住となっている場合が多いことから、各自治体の公営住宅収入要件を2倍に引上げ、福島に自宅を有していても、避難先で公営住宅の入居を可能とするなどの円滑化を行うもので、2019年4月には、45都道府県、18政令市まで拡大しました。

一方、2015年8月には、放射性物質の自然減衰等により、避難指示区域以外の浜通りや中通りの年間被ばく線量は大幅に低下してきているという状況下で、子ども被災者支援法の「基本方針」の改定に迫られました。

これは、法律上、放射線量に係る調査に基づき、支援対象区域を毎年、「見直す」ことになっていたのです。

最終的には、「空間線量等からは、避難指示区域以外の地域から新たに避難する状況にはないが、放射線量の低減にかかわらず、支援対象地域の縮小・撤廃はしない」とさせて頂きました。自主避難の皆様の避難先での生活が一定程度、形成されていることから、支援の継続を念頭に改定をしたものです。

他方で、「県外避難者懇談会」では、皆様からの意見から、新たな支援策を立ち上げることも・・。

例えば「ママカフェ」がその一つです。

避難先からの帰還を検討しているお母さま方にとって、自主避難した方と避難せずに中通りやいわきに残った方の間で、「心の壁」を感じると言われたことがきっかけで、避難元へのバスツアー等に、そのようなママ友間の懇談の場を組み込んだりしたのです。

自主避難者にとっては、公的セクターからだけではなく、このような身近な「リスクコミュニケーション」が求められていたのだと思います。

P.S.次回12月25日で、リスクコミュニケーションについての対談の振り返りは最終回になります。今年最後のレポートになりますので、今後の私なりの展望についてもお話しさせて頂く予定です。

 

 

関連記事