4月29日 子どもたちへのメッセージ(第十八回)の収録を終えて

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第十八回のテーマは「少年犯罪」です。ひとくちに少年犯罪といっても様々なケースがあると思いますが、少年犯罪の具体例というのはどういうものがあるのでしょうか。刑法とは異なり、罪を犯した子どもたちは「少年法」に基づき裁かれます。少年犯罪は戦後から幾度もピークがあり、今なお問題とされています。少年犯罪を未然に防ぐために今何が重要か話し合いました。

■少年犯罪の具体例
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。今回は「少年犯罪」について話していきたいと思います。

昨年も子どもたちによるむごい犯罪がたくさんありました。例えば2月に大阪で13歳の中学生が29歳の義父を、殺人の計画を立て刃物で腹部を刺すという殺人未遂事件がありました。また6月には千葉県で中学3年生の少年と高校1年生の少年2名が、33歳のパート従業員を殴る蹴るなどの暴行を加え、その被害者を森林内に放置して殺害したという事件もありました。

子どもたちの犯罪は、少年法という法律で裁かれるのですが、その本来の少年法の趣旨は「刑罰」ではなくて「保護・矯正」することであり、その中で14歳以上が刑法上において犯罪の責任を負わす年齢であるので「犯罪少年」、14歳未満は「触法少年」、それら以外で将来犯罪を犯す恐れのある子どもたちは「ぐ犯少年」と呼び、全体では年間約10万件の子どもたちが少年犯罪として扱われています。

■少年保護手続の流れ
少年犯罪について詳しい水谷さんから実際少年が罪を犯した場合どうなるか説明がありました。

まずは逮捕した警察署による最長12日間の刑事こう留があります。要は留置所に入れられ、事件に関わる事柄の全てに取り調べを行い、その上で鑑別所という所に送られます。次に、家庭裁判所の調査官がその子の生まれ、学校での状況、あるいはどうしてそういう状況になったか、今後どうするべきか調査をした上で、家庭裁判所の裁判官による審理が行われ、処遇決定がされます。ただし、あまりにも殺人や強姦等、重罪の場合には家庭裁判所から「逆送」という扱いで地方裁判所に送られ、成人と同じように処罰されます。家庭裁判所の審理を経て、軽罪の場合には観察処分になります。

観察処分には種類があり、まずその家庭もまだ教育力があり、学校側も協力的な場合は、1年か1年半、観察した結果、その間に良好な生活を送れ、厚生したのなら処分しないという「保護観察」。

その次には家庭などを含めた環境が、再犯を繰り返す恐れがある場合には、各都道府県に設置されている「児童自立支援施設」に入所させ、そこで生活態度指導や反省を促させます。

それ以上の矯正教育を要する場合には「少年院送致」になります。さらに重罪の場合は全国で六ヶ所ある少年刑務所に送られ、成人と同じ処遇になり、完全独房で刑務労働もあり、禁固刑という、本当に厳しい処遇になります。

■少年犯罪を未然に防ぐために
少年犯罪を振り返りますと、今まで「四つの波」があると言われています。

最初の波は1951年をピークにする戦後の動乱期です。2番目は1964年の、いわゆる「都市化」、「核家族化」が背景にある時代、3番目が1983年、いわゆる「遊び型犯罪」として少年犯罪の一般化、低年齢化の時代です。そして最後の波が1998年から現在に至るバブル崩壊後になります。私は少年犯罪を未然に防ぐためには以下の3つが重要だと考えています。

1つは「就労の安定」。次に「家族機能の強化」。これは家族機能が弱まっているので、父親・母親との関係が希薄になっている現状がありますが、親の涙を通して更生していく子どもの声も実際にあるからです。3つ目は「生活のルールを身につける」。例えば計画的にお金を使うことができない子は、お金が入ると全部使ってしまい、窃盗に走ってしまうからです。これらの3つのことをひとつひとつクリアしていくことが、少年犯罪を防いでいくことにつながるのではないでしょうか。

教育者として水谷さんからは、教育の現場ではとにかく「落ちこぼれを作らないこと」を挙げていました。勉強についていけない、学校がつまらない、だから外で遊ぶという悪循環があります。中学校が荒れるというケースは小学生の時に勉強についていけなかった子が集団で暴れ回ってしまうことなので、落ちこぼれを作らないことを第一に挙げていました。

もう一つは「楽しい学校づくり」。例え家庭に問題があって辛くても、学校では自分の居場所がある、そのような明日が見れ、夢がある学校づくりをしたら子供たちは必ず救われると水谷さんは強く訴えました。

「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ

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